エリアプライスと市場分断データの読み方
全国で一つの価格にならないのはなぜか
——連系線の混雑が地域の値差を生む
同じ時刻に、東京と九州のスポット価格が異なることがあります。これは市場が別々だからではなく、エリア間を結ぶ連系線で流せる電力に限りがあるためです。
連系線の空容量などの制約により全国一括の約定ができないと、市場分断処理が行われ、エリアごとに約定価格が決まります。
蓄電所の市場機会は全国平均だけでなく、立地するエリアの価格と分断の頻度で見ます。
システムプライスとエリアプライス
システムプライス
市場分断がないと仮定して、全国の入札を一括して約定処理した場合の全国共通の参考価格です。
全国の需給
エリアプライス
市場分断処理が行われた場合に、連系線制約を反映してエリアごとに決まる約定価格です。売買代金は各エリアの約定量と約定価格を基に計算されます。[2]
地域の需給
JEPXの市場情報では、30分コマ、日平均、月平均、年度平均で価格を表示・ダウンロードできます。[1]
市場分断はどう起こるか
全国で最初に約定処理を行った結果、エリア間の売買約定量がOCCTOから通知される連系線の空容量を超えるなどの制約に抵触する場合、利用可能な空容量を条件としてエリアごとに再度約定処理を行います。これが市場分断処理です。[2]
平均価格だけでは見えないもの
月平均が同じでも、価格差の出る時刻、継続時間、極端な高値・安値の回数は異なります。蓄電池は30分ごとの値差を利用するため、平均値だけでなく分布と時間帯を見ます。
| 見る指標 | 分かること | 注意点 |
|---|---|---|
| エリア平均 | 全体的な価格水準 | 日内の変動を隠します。 |
| 日内最大・最小 | 理論的な値差 | 同じ電力量を確実に売買できるとは限りません。 |
| 分断回数 | 地域差の発生頻度 | 方向と時間帯を分けます。 |
| 約定量 | 市場の規模 | 個別入札の成立可能性を保証しません。 |
立地評価に使うときの限界
過去データは、エリアの価格特性を理解するために有用です。しかし、将来の再エネ導入、需要、連系線増強、制度変更、燃料価格でパターンは変わります。
JGBEAの視点|全国平均ではなく、30分×エリアで見る
案件の所在地が決まっているなら、全国システムプライスより当該エリアプライスを優先します。さらに、充電可能時間、出力、効率を重ね、実行可能な取引だけを抽出します。
公開価格は市場機会を示しますが、個別案件の確定収益ではありません。
今回の要点
- エリアプライスは市場分断時に連系線制約を反映して決まる地域ごとの約定価格です。
- 市場分断は、エリア間の約定量が連系線の空容量等の制約に抵触した場合に行われます。
- 平均価格だけでなく、30分ごとの分布、時間帯、約定量を見ます。
- 過去の地域差が将来も続くとは限りません。
次回予告
第12回からは需給調整市場編です。まず、一次から三次②までの五つの商品が、どの速さの需給変動に対応するかを比較します。