事前審査とアセスメントの公開ルール
参加前に「動けるか」、取引後に「動いたか」
——二段階の確認を混同しない
需給調整市場では、設備カタログに「高速応答」と書かれているだけでは参加できません。市場参加前に、商品要件どおり応動できるかを確認する事前審査があります。
さらに、約定して実需給を迎えた後は、指令や基準値に対し実際に応動したかをアセスメントで確認します。
事前審査は参加資格の確認、アセスメントは実際の履行確認です。
事前審査は「再現できる性能」を見る
事前審査では、属地の一般送配電事業者が、応動時間、継続時間、出力変化、指令への追随、計測・通信などを商品別に確認します。試験方法や提出データは、商品、指令方法、電源・需要家の構成で異なります。[1]
アセスメントは約定後の実績を評価する
約定した商品ブロックでは、指令値、基準値、計測値等を使い、所定の性能を発揮したかを評価します。未達の場合は、取引規程に基づき取引不成立、料金の減額、ペナルティなどの扱いが生じ得ます。
評価式や許容範囲は商品ごとに異なります。一つの商品で使う判定基準を、別の商品へそのまま当てはめないことが重要です。
蓄電池で確認するデータのつながり
指令データ
いつ、どの値が、どの経路で届いたか。時刻同期も確認します。
入力
EMS・PCSログ
指令をどう変換し、どの出力指令を出したか。
制御
計量データ
受電点または機器点で実際にどれだけ動いたか。
結果
SOC・異常履歴
出力不足がエネルギー不足、温度、故障、制御上限のどれかを判断します。
原因
ログの時刻や粒度が合わなければ、未達の原因を説明できません。設備導入時に、アセスメントで必要なデータ保存期間と出力形式まで確認します。
少量約定時など、2026年度の扱いも確認する
2026年度改定では、少量約定時のアセスメント緩和など、運用上の見直しも反映されました。[2] 現場では古いガイドや説明資料を使い続けず、現行の取引規程・商品別規程・ガイドの組合せを確認します。
JGBEAの視点|性能値より、性能を証明できる運用を見る
PCSの応答性能が高くても、通信、計測、SOC、運用者の判断が遅ければ市場要件を満たせません。
評価では、試験成績書だけでなく、現行構成との一致、ログ保存、異常時の原因分析、変更後の再確認を見ます。
今回の要点
- 事前審査は市場参加前の性能確認です。
- アセスメントは約定後の実際の履行評価です。
- 評価方法は商品ごとに異なります。
- 指令、EMS・PCS、計量、SOCのログを時刻でつなげます。
- 規程改定後は古い試験・評価条件を使わないよう注意します。
次回予告
第15回からは容量市場編です。蓄電池が事業者情報・電源等情報・期待容量を登録し、応札・契約へ進む流れを解説します。
参考資料・出典(2026年9月16日確認)
[1]電力需給調整力取引所(EPRX)「取引ガイド(全商品)第10版(2026年7月1日実施)」
[2]電力需給調整力取引所(EPRX)「需給調整市場に係る取引規程等の公表」