2026年度改定で蓄電池取引は何が変わったのか
週間で押さえる市場から、前日に組み直す市場へ
——30分化と個別計測が広げた選択肢
2026年度の需給調整市場では、蓄電池運用に直結する大きな変更が行われました。一次から三次①までの前日取引化、30分ブロック化、機器個別計測・低圧リソース参入です。[1]
取引時点が実需給に近づき、短いブロックで応札できるようになったことで、SOCや卸市場価格を見ながら判断しやすくなりました。一方、前日の短時間に予測・最適化・入札を行う体制が必要です。
柔軟性が増えた分、運用判断の速度とデータ連携が問われる制度になりました。
一次から三次①までが前日取引へ
従来、複合商品は週間取引でした。2026年度取引では、一次調整力から三次調整力①までが前日取引化されました。三次調整力②も前日に取引されるため、全商品を実需給に近い情報で組み立てます。[2]
直近の設備状態、SOC、天候、卸市場約定、他市場の義務を反映しやすくなる一方、前日の処理時間内に意思決定する必要があります。
商品ブロックが30分単位になった
一次から三次①までの商品ブロックが30分化され、必要な時間帯だけ応札しやすくなりました。長い時間を一括して確保する場合より、SOC、充放電回数、保守時間を細かく管理できます。
ただし、30分ごとに自由に切り替えられるとは限りません。隣接コマのSOC、充放電方向の切替、他商品の約定、運転継続条件を確認します。
機器個別計測と低圧リソース参入
2026年度から、受電点全体ではなく対象機器の計測値を用いる機器個別計測と、低圧リソースの参入が始まりました。小さな蓄電池等を束ねて1,000kW以上のリソースとして参加する選択肢が広がりました。[2]
受電点計測
需要家全体の受電点計量を基準に評価します。対象機器以外の負荷変動も影響します。
従来の考え方
機器個別計測
対象の蓄電池等を個別に計測し、機器の応動を評価します。
2026年度から拡大
低圧の機器個別計測でkWh取引を行う場合、受電点側の次世代スマートメーター等の条件があります。EPRXのFAQと取引ガイドで確認します。[3]
制度変更で増える実務
制度上参加できても、機器リスト、計測データ、基準値、通信、同意取得、アグリゲーション、前日入札を実装しなければ取引できません。
JGBEAの視点|制度の柔軟性を、運用システムの柔軟性へ変える
30分化や前日化は蓄電池に有利な面がありますが、手作業の入札、遅いデータ収集、固定的なSOCルールのままでは活かせません。
評価では、前日情報の取得時刻、最適化計算、承認、入札、約定反映、当日監視までの時間を測ります。
今回の要点
- 2026年度取引では一次から三次①までが前日取引化されました。
- 商品ブロックが30分単位となり、時間帯を細かく選べます。
- 機器個別計測と低圧リソース参入が始まりました。
- 制度上の参入可能性とは別に、資格・計量・通信・事前審査が必要です。
次回予告
第14回では、市場参加前の事前審査と、約定後のアセスメントで何を確認するのかを説明します。
参考資料・出典(2026年9月14日確認)
[1]電力需給調整力取引所(EPRX)「需給調整市場に係る取引規程等の公表」
[2]電力需給調整力取引所(EPRX)「取引ガイド(全商品)第10版(2026年7月1日実施)」
[3]電力需給調整力取引所(EPRX)「よくあるご質問」