容量市場と長期脱炭素電源オークションは何が違うのか|長期脱炭素電源オークション編 第18回

JGBEA コラム|長期脱炭素電源オークション編 第18回

容量市場と長期脱炭素電源オークションは何が違うのか

どちらもkWを取引するが、支える投資が違う
——四年先の供給力と長期投資を分ける

長期脱炭素電源オークションは、卸電力市場、需給調整市場、容量市場に続く「第四の市場」と説明されることがあります。しかし、制度上は容量市場の一部です。[1]

通常のメインオークションが四年後の供給力を幅広い既存・新設電源から確保するのに対し、長期脱炭素電源オークションは、脱炭素電源への新規投資を長期収入で支える仕組みです。

同じkW価値を扱っていても、対象投資、契約期間、価格決定、収益精算が異なります。

目的は「供給力確保」と「新規投資促進」

メインオークション

原則四年後に必要な供給力を、既存・新設を含む電源から効率的に確保します。

将来の供給力

長期脱炭素電源オークション

脱炭素電源への新規投資に長期固定収入の予見性を与え、投資を促進します。

脱炭素投資

収入期間と約定方式が異なる

メインオークションは原則として対象実需給年度一年の容量を取引し、シングルプライス方式で約定します。長期脱炭素電源オークションは、原則20年間の制度適用期間を持ち、蓄電池は要件を満たす場合に最長40年を選択できます。落札電源ごとの応札価格が約定価格となるマルチプライス方式です。[2]

現在参加登録・応札メイン四年後の一年長期脱炭素供給開始後長期実需給義務を履行二つのオークションの時間軸
図1 長期脱炭素は新規投資の回収期間を意識した制度

長期脱炭素には他市場収益の還付がある

長期脱炭素電源オークションでは、卸市場、需給調整市場、非化石価値等から得た他市場収益について、可変費等を差し引いた収益の一部を還付する仕組みがあります。2025年度結果資料では、収益に応じた還付割合が示されています。[3]

したがって、容量確保契約金額と他市場収益をそのまま全額加算することはできません。収益・費用の定義、還付計算、年次精算を確認します。

蓄電池は設備条件と供給開始期限を見る

2026年度募集要綱では、蓄電池に送電端30,000kW以上、1日1回以上・連続6時間以上の放電、年度平均6時間以上などの要件があります。出力、運転継続時間、調整係数、供給力提供開始期限、サプライチェーン等は募集年度ごとに確認します。

JGBEAの視点|長期収入の長さより、長期義務の整合性を見る

長期契約は資金調達に有利な一方、建設遅延、設備劣化、更新、他市場収益還付、制度適用期間中の義務が長く続きます。

評価では、契約期間全体の収入と費用を同じ前提で置き、設備更新や容量低下も反映します。

今回の要点

  • 長期脱炭素電源オークションは容量市場の一部です。
  • メインオークションは将来の供給力、長期脱炭素は新規投資促進が中心です。
  • 約定方式と制度適用期間が異なります。
  • 長期脱炭素では他市場収益の還付を考慮します。

次回予告

第19回では、2026年5月に公表された2025年度長期脱炭素電源オークションの約定結果から、蓄電池の応札・落札状況を読みます。

参考資料・出典(2026年9月25日確認)

[1]電力広域的運営推進機関(OCCTO)「長期脱炭素電源オークションを知ろう!」

[2]電力広域的運営推進機関(OCCTO)「容量市場関係の情報・手続き(2026年度長期脱炭素電源オークション募集要綱を含む)」

[3]電力広域的運営推進機関(OCCTO)「長期脱炭素電源オークション約定結果(応札年度:2025年度)」

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