期待容量と容量確保契約容量は何が違うのか
PCSが2MWでも、市場で2MWとは限らない
——四つの「容量」を一本につなぐ
系統用蓄電所の資料には、蓄電池容量MWh、PCS出力MW、期待容量kW、応札容量kW、容量確保契約容量kWが並びます。単位が似ていても意味は異なります。
PCSが2MWだから容量市場でも2,000kWを提供できる、とそのまま置くことはできません。補機電力、運転継続時間、劣化、調整係数、実効性の確認が関係します。
設備の上限を、市場で約束できる供給力へ段階的に絞り込むのが容量登録です。
四つの容量を順番に見る
期待容量は、設備容量から構内需要電力や出力低下要因等を差し引き、供給区域の供給力として期待できる最大値です。応札容量はその範囲で事業者が入札する容量、契約容量は落札後の容量確保契約に記載される容量です。[1]
MWとMWhは役割が違う
MW・kW
その瞬間にどれだけの電力を出せるか。PCS、受電点、契約出力等が上限になります。
出力
MWh・kWh
どれだけ長く出力を続けられるか。蓄電池のエネルギー量、SOC範囲、効率が関係します。
継続時間
2MWのPCSに8MWhの蓄電池があっても、常に2MWを4時間提供できるとは限りません。使用可能SOC、温度、劣化、補機、変換損失を確認します。
調整係数と電源区分を確認する
容量市場では、電源種や運転継続時間などに応じた供給力評価が行われます。蓄電池・揚水の供給力は、調整係数を用いて評価される場合があります。適用年度の募集要綱・説明資料で電源区分と算定方法を確認します。
同じ設備でも、参加区分や実効性テストの扱いにより、登録・契約上の容量が変わる可能性があります。過年度の係数を将来年度へ固定して使わないことが重要です。
実効性テストで数字が変わる場合
発動指令電源では、実効性テストで確認した発動実績をもとに、実効性テスト後の期待容量を算定します。未達がある場合は、容量確保契約書を締結しているときはアセスメント対象容量、締結前は期待容量を基準に未達量を算定します。実効性テストの結果だけで、容量確保契約容量が自動的に変更されるという意味ではありません。[2]
JGBEAの視点|大きい定格より、再現できる契約容量を評価する
設備カタログの最大値は、技術比較には使えても、市場供給力の確約ではありません。
評価では、設備定格→受電点上限→期待容量→応札容量→契約容量の計算根拠を追い、実需給年度の劣化と補機を反映します。
今回の要点
- 設備容量、期待容量、応札容量、契約容量は意味が異なります。
- MWは出力、MWhは継続可能なエネルギー量を表します。
- 蓄電池の供給力評価には調整係数等が関係します。
- 発動指令電源では、実効性テスト後の期待容量が算定されます。
次回予告
第17回では、対象実需給年度2026年度のリクワイアメントとアセスメントを、安定電源を中心に読み解きます。
参考資料・出典(2026年9月21日確認)
[1]電力広域的運営推進機関(OCCTO)「容量市場メインオークション実務説明会資料(対象実需給年度:2030年度)」(2026年7月8日)
[2]電力広域的運営推進機関(OCCTO)「容量市場関係の情報・手続き(現行資料一覧)」