JGBEA コラム|卸電力市場編 第9回
蓄電池はJEPXでどのように売買されるのか
安いときに買い、高いときに売る
——その間にある契約・計画・計量を見る
卸電力市場での蓄電池収益は、「安い時間に充電し、高い時間に放電する」と説明されます。考え方は正しいものの、価格差がそのまま利益になるわけではありません。
売買には取引会員、需給計画、託送契約、受電点計量、充放電効率、手数料が関わります。設備オーナーがJEPXへ直接入札する形だけが答えではありません。
市場価格は入口であり、利益は売買から計量・精算までを通して決まります。
JEPXの二つの主要市場
JEPXは、翌日に受け渡す電気を取引する一日前市場(スポット市場)と、スポット市場後に当日まで調整する当日市場(時間前市場)を運営しています。[1]
充電から放電までの取引フロー
充電時には市場等から電気を調達し、接続供給を通じて蓄電所へ送ります。放電時には、売り約定量を販売計画へ反映し、受渡時間帯に蓄電所から系統へ送ります。実際には取引会員や小売電気事業者、アグリゲーターが役割を分担する場合があります。
価格差から差し引くもの
1kWhを買っても、1kWhをそのまま売れるわけではありません。PCS、変圧器、補機、電池内部で損失が生じます。また、取引手数料、託送関連費用、インバランス、劣化なども考慮します。
| 項目 | 価格差への影響 |
|---|---|
| 往復効率 | 購入電力量より販売可能電力量が少なくなります。 |
| 補機電力 | 空調、制御、消防設備等が電力を消費します。 |
| 手数料・契約費 | 市場参加、運用委託、精算に費用がかかります。 |
| インバランス | 計画と実績の差が追加の精算対象になります。 |
直接取引か、委託取引か
JEPXで取引するには会員資格や取引・決済体制が必要です。オーナー自身が会員として取引する場合も、取引会員やアグリゲーターへ委託する場合もあります。
JGBEAの視点|円/kWhの差を、受電点の収支へ変換する
価格グラフだけでは、設備で実現できる収益は分かりません。買い電力量、売り電力量、SOC、効率、補機、計画差を同じ30分コマで結びます。
評価では、誰が入札するかより、取引から受電点計量まで数字が追跡できるかを重視します。
今回の要点
- JEPXの主要市場はスポット市場と時間前市場です。
- 充電用電力の購入と放電電力の販売の間に、計画・設備運用・計量があります。
- 価格差から効率、補機、手数料、インバランス等を差し引きます。
- オーナーがJEPXへ直接参加しない事業体制もあります。
次回予告
第10回では、スポット市場と時間前市場を、取引時刻、約定方法、計画修正の役割から比較します。