JGBEA コラム|公表データ編 第25回
JEPX価格データの正しい読み方
平均価格だけでは、蓄電池の値差は見えない
——30分コマから年度平均までを使い分ける
JEPXの年度平均価格が10円/kWhなら、安い時間に10円で買い、高い時間に売れるという意味ではありません。平均値は、値差をならした結果です。
蓄電池は30分ごとに充放電するため、実際に見るべきなのは、同じエリアの30分価格、取引量、充放電可能時間、連続する価格パターンです。
データの粒度を粗くするほど見やすくなりますが、蓄電池が使える値差は見えにくくなります。
まず五つの列を確認する
| データ | 用途 | 注意点 |
|---|---|---|
| 受渡日・時刻 | 30分コマを特定 | 入札日ではなく受渡日でそろえます。 |
| システムプライス | 全国需給の参考 | 個別エリアの精算価格ではありません。 |
| エリアプライス | 立地エリアの価格分析 | 市場分断を反映します。 |
| 約定量 | 市場規模・流動性の参考 | 自社入札の成立を保証しません。 |
| 入札量 | 売り・買いの厚み | ブロック入札等の構造に注意します。 |
JEPXはスポット市場ページから表・データを公開しています。[1]
粒度で見えるものが変わる
月・年度平均は傾向比較に便利ですが、充電と放電の時間差を消してしまいます。収益シミュレーションでは30分データを使い、結果を月・年度で集計します。
理論値差と実行可能値差を分ける
一日の最安値と最高値の差は「理論上の最大値差」です。しかし、蓄電容量、出力、SOC、充放電時間、効率、同一価格で取引できる量を考えると、全量をその差で売買できるとは限りません。
理論値差
同日の最低価格と最高価格の差。市場の変動性を見る指標です。
市場指標
実行可能値差
設備制約と約定量を反映し、実際に充放電できるコマの差です。
案件指標
データ更新と異常値を確認する
速報値、確報値、訂正、公表仕様の変更があり得ます。分析時には取得日、データ期間、タイムゾーン、欠測処理、負価格、極端値の扱いを記録します。
JGBEAの視点|グラフの形より、再現できる集計手順を見る
きれいな価格グラフでも、エリア、期間、欠測処理、効率、取引量が不明なら案件評価には使えません。
評価では、元データURL、取得日、加工手順、計算式、出力結果を保存し、同じ条件で再計算できるようにします。
今回の要点
- 蓄電池の収益分析は30分エリアプライスから始めます。
- 月・年度平均は傾向比較に使い、値差計算へ直接使いません。
- 最低・最高価格差は理論値であり、実行可能値差とは異なります。
- 取得日、欠測、訂正、加工手順を記録します。
次回予告
第26回では、需給調整市場と容量市場の公表結果を並べ、ΔkW・30分とkW・年を直接比較してはいけない理由を整理します。